2017年07月19日

カルトナージュ

子どものころからなぜか箱に惹かれるところがあり、美しい模様や可愛らしい絵柄の物はもちろん、中に入れるものが無くてもそばに置いておきたくなるのが不思議でした。


そんな気持ちは、私だけでは無かった!と気付かせてくれたのが文豪 幸田露伴を父に持つ幸田文さんの「箱」という随筆。

  『男の人はてんで箱なんかのことで気を動かされることはないようだが、
  女はどういうものか箱というと、え?とふりかえる傾きがある。(中略)

  女は小さな子供でも箱に反応を示す。チョコレートやビスケットの箱は、
  きれいな彩色や絵がついているが、それをほしがるのである。そして
  予約する智慧をもっているから驚く。「それ、からっぽになったら、
  あたしに頂戴ね」と言う。外側の箱もほしいが、箱におとらず中身も
  ちゃんと尊重しているから、中身の存在しているうちは、最高権威を持つ
  母に保管をゆだねておくのが至当だと了解しているのだろう。』
  (新潮文庫 『雀の手帖』より)



初めて読んだ時には、自分の事が書かれているような気になるほどでしたが、幸田さんによれば、女性は概ね年齢に関係なくきれいな箱に心惹かれるようです。
自分の部屋を見まわしてみてもきれいなお菓子の箱や缶だけでなく、空き箱に好みの和紙を貼って作った物もあれば(未だ中身は入っていません)、わざわざ一目ぼれで購入した緑の花柄の和紙が貼られた文箱もあり、実用的なものからそうでないものまで様々。


箱を愛しているのは日本女性だけかと言えば、そうでもないようで、フランスの女性達も美しい箱を楽しんで生活に取り入れてきたようです。


先日 Atelier Baby−BreathのRico先生のカルトナージュ教室に参加しました。カルトナージュは、フランスの伝統工芸。18世紀頃、南仏で蚕を入れ輸送するための箱として考えだされたのが最初と言われているそうです。
現在は、カルトンというフランス製の厚紙(普通のボール紙と違って湿気に強い)をカットしたパーツにフランスの布などを貼り、組み立て、小物入れなど様々なものを作っています。


私は初心者向けの小物入れを作りましたが、部屋には落ち着いたピンクの薔薇の生地を貼ったティッシュボックスがあり、それを見るたびに優雅な気分になります。

毎日見るもの、触れるものから心も影響を受けているはずですから、やはり身の回りに自分好みの美しい小物を置いて使うことは、日々穏やかな気持ちで過ごすコツの一つかもしれません。

そんなところから、女の子から大人の女性達まで、洋の東西を問わず箱に惹かれてしまうのかもしれません・・・。

眺めて楽しむのも良いですが、ぴったり合うものを納めて箱を使いこなせるようになったら、もっと心豊かに過ごせそうな気がします。










posted by ヒロリン at 22:16| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月16日

Your day will change the world

3月11日の朝、キッチンでホトトギスの鳴き声を聞きました。
春を運んでくれる澄んだ鳴き声、きっとご近所の庭に来ていたのでしょう。
まだまだ寒いと思っていたけれど、季節は巡っています。

その日は東日本大震災から6年。テレビや新聞などでは特集が組まれ、当時の映像、画像が大量に流されていました。映像のチカラは大きいものですね。あっという間に引き戻され、当時感じた様々な気持ちを思い出しながら過ごしていました。
テレビの中の誰かが、「あの時は人との絆を感じていた。これを忘れてはいけない」と話していました。

見ず知らずの方とも声をかけあい、支え合い、感謝の気持ちが溢れていました。
一人ひとりのチカラ、マンパワーの力強さも、感じることが出来ました。

あれから6年、まだまだ復興道半ばの地域もありますが、有難いことにほぼ日常が戻ってくると、いつの間にか何でも当たり前になってきてしまいます・・・。



昨年末に出合った絵本『あなたの一日が世界を変える 今日が輝く「10の問いかけ」』
この本に書かれているのは、児童文学作家のくすのきしげのりさんが、20代の小学校教員だったころから考え、機会あるごとに伝えてきたメッセージだそうです。


くすのきさんはある時、突然の病に倒れ、闘病生活の中で、悲しんだり恐れたりすることは生きているからこそできるということ、そして周りの方々から愛され支えられ、生かされている自分という大切なことに気付いたそうです。

そんな自分が、家族や社会さらには世界のためにできることは、何か?を考えた時に、私たち一人ひとりの一日が世界を変えるということ、今日という日をたいせつに過ごすことや、素直な心でよりよく生きること、そして人生の意味をあらためて自分自身に問いかけたそうです。


今日が輝く10の問いかけには
・あなたは、今、笑顔ですか?
・あなたにとって、たいせつな人はだれですか?
・あなたが、たいせつな人のためにできることは何ですか?
・あなたが、他の人や社会のためにできることは何ですか?
・あなたは、どんな人になりたいのですか?

などがあります。


一日笑顔でいるだけでも、周りの人達の気持ちを柔らかくし、笑顔の人を増やすことが出来、ちょっとしたイライラなどを笑い飛ばすことが出来る、そんな効果があるように思います。
笑顔を向けられた人は笑顔で返してくれますし、何より自分自身も温かく穏やかで、楽しい気持ちになっていきます。

絵を担当している古山拓さんの優しいトーンの絵も、眺めているだけでほんわかした気分にさせてくれます。

この絵本は世界で一番貧しい大統領として知られている、ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領も推薦されていて、日本語でも英語でも読むことが出来ます。

『Your day will change the world あなたの一日が世界を変える 今日が輝く「10の問いかけ」』(PHP研究所)



今日が輝く「10の問いかけ」は、毎日、自分自身に問いかけたほうが良いのでしょうが、
絵本は、3月11日、記念日、誕生日、クリスマス、新年などなど、自分と大切な方々、平和な世界を思いながら過ごしたい時にぴったりの一冊だと思います。









posted by ヒロリン at 10:35| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月26日

取材の旅

今年の秋も昨年に続き電力ビル1階のアクアホールで「ふれあいコンサート」がありました。子ども達からお年寄りまで幅広い年代の方々にお越し頂いた朗読と音楽のコンサート。


今年は杉みき子さんの『小さな町の風景』を選びました。
「坂のある風景」「塔のある風景」「橋のある風景」「海のある風景」など8章に分かれ、それぞれに小品がおさめられています。全部で45編の物語集です。
今回は「商店のある風景」から3編を読みました。

どれも人の優しさ、思いやりを感じさせるもので、私たちが失いたくない温かな心が描かれています。



この朗読会を前に、作品の舞台になっている新潟県高田を訪れました。
ここは杉さんのふるさとでもあります。
当日は台風の影響で外に出ている人が少なかったせいもあるのですが、降り立った印象はまさにタイトルの通り小さな町、そして静かな町でした。


雪国ならではのタテにライトが並んだ信号や、歩道に屋根がついている雁木通りなどを、ゆっくり見ながら歩いていると、物語の主人公の少年や少女になったような気持ちになってきます。
お話に出てくる時計屋さん、帽子屋さん、くだもの屋さんはこんなガラス戸の入り口の店構えかな?などと想像しながら散策しました。

短い滞在ではありましたが、出会った土地の方々は皆さん親切で優しく、お米や海の幸の美味しさにも感激し、荒天を忘れてしまうほどでした。



ところで、朗読会の前にはいつも録音し読みの確認をしていますが、日を追って聞き返してみると、本番までの変化がよくわかり、それと共に自分の心の動きもわかるので、まるで声の日記のようで面白く感じられます。

高田から戻った日、早速あの町の様子を思い浮かべながら読んでみると、実際に町の空気を感じてきたせいか、その雰囲気が言葉の質感にだいぶ影響を与えていたようで、自分のことととは言え興味深く感じられました。



今は何でもネットで簡単に調べられ、とても便利な世の中になっています。その便利さを有難く受け入れつつも、足を運んで得たものはやはり確実なものがあり、それが作品に向き合う時の心のあり方にも影響を及ぼします。
出来る限り誠実な姿勢で物事に臨みたいと感じた取材の旅でした。










posted by ヒロリン at 09:46| Comment(2) | 朗読 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする